人民月報

夢はベッドでドンペリニヨン

次女のペース

次女は、マイペースな奴だ。

6年生になり、メンバーの中で一番キャリアが長いのでミニバスケットチームのキャプテンをやらせてもらっているが、最後の大会を前に、なかなかチーム全体の調子が上がってこない上に、キャプテンが率先して気のないプレーをしているので、先日コーチからきついお目玉を貰った。

ふだん、極力、次女と長女を比較した物言いは控えているつもりだが、この時ばかりは、長女を引き合いに話をした。

長女もミニバスをやっていたが、彼女は大概の事を努力でなんとかしてきた。スタミナに難があるので試合で使えないと言われ、冬の早朝、6時から真っ暗な中ランニングをして、体力をつけてレギュラーになった。今、中学2年生だが、英語が苦手だというので、英語だけでも塾に行ってみるかと訊いたら、「次の定期テスト1回だけ、全力で英語の勉強をして、それでもだめなら塾へ行くけど、あと1回だけは自分の力でやってみたい」という答えが返ってきた。

自分の限界を自分で決めないのは、ミニバスの経験からきていると思った。

次女にも、そんな経験を得てほしかった。長女と同じ練習をしろとは言わない、同じプレーをしろとも言わない。だけど、折角キャプテンをやらせてもらっているのだから、あと半年、全力でやり切ったと自分で思える経験を得ることができれば、この後の人生ずいぶんラクになる───そんな話をした。長女と比べたつもりは、なかった。

 

猫が、病気になった。雌雄2匹、去年の夏から飼っているうちの、雄のほうが、呼吸が苦しそうなので病院に連れて行ったら、肺に腫瘍ができていて、もう長くないと診断された。

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凛々しさは失わない

1歳半、そんな事あるんか───と、目の前が真っ暗になった次の瞬間、頭に浮かんだのは次女のことだ。2匹を飼いたいと、一番強く言ったのは次女だ。飼い始めてからは餌の世話、トイレの掃除を姉妹の誰よりまめにこなし、その流れで炊事洗濯など、家事を手伝ってくれるようになった。

猫が来てからは、感情をストレートに表に出すようにもなった。もともと、外面が良く、家の中でだけ本性を出すところはあったのだが、家の中でももう一枚かぶっていたのだ。猫を猫かわいがりする本当の姿を家族に見られ、どうでも良くなったのだろうか、よく笑い、よく喋り、表情が真っ直ぐ出るようになった。

 

次女は、ちゃんと経験を得て、成長していた。

バスケで成長する子もいれば、猫で成長する子もいるのだ。バスケで成長しなければならないと決めつけていたことがそもそも、長女と比較してしまっていたのだ。

 

次女は、猫の病気のことを聞いて、少し泣いて、今は普通に過ごしている。「泣けば病気が良くなるんなら、泣くけどさ」と言っている。バスケのことは、自分の出来る範囲で精一杯やればそれでいいと、伝えた。

 

次女には、次女のペースがある。