人民月報

夢はベッドでドンペリニヨン

誰だ!

ほとんどの人は、固定電話に電話をかけるときは、今でも「モシモシ〇〇です」と、名前を名乗っていると思う。

携帯電話から携帯電話にかけた場合は、ディスプレイに発信者が表示される。受ける側も、心の準備をしてから出ることができる。昭和から平成への大きな変化のひとつが、「誰が電話をかけてきたかわかる」だったと思う。

 

しかし、ハンズフリーヘッドセットの登場によって、事態は新しいフェーズへと移行した。

便利なんだコレ。携帯をポケットに入れたままでも、イヤフォンをポチっと押せば電話に出られるし、なかなか音声も良いので、先方もまさか俺がジャグリングをしながら通話しているとは夢にも思わない。

しかし。このアイテムの登場によって、これまでは問題視されていなかったことが露わになった。

 

ほとんどの人間が、名前を名乗らない。

社の内外、男女、老若問わず、ほとんどの人が、いきなり要件を切り出してくる。

 

「こないだのアレやけどさー!」

誰やアンタ。いつのドレや。

「今どこ?」

俺はどこ?あなたは誰?

「久しぶり!誰かわかるー?」

そういうのいらんねん!

 

電話ってこんなんだったか?

 

ポケットから携帯を出しさえすればすぐに、誰だかわかるのだが、なにぶんジャグリング中にはままならない。俺もさすがに特徴のある20人くらいのオッサンの音声は脳内にメモリーしている。しかし似たようなオッサンの声、それ以上の音声データは俺のCドライブにはアクセスできません。

 

思うに、携帯電話のほうの機能で、ヘッドセットに繋いでいるときは、着信音と同時に、発信者の名前を機械音声で読み上げるようにはできないだろうか。ヘッドセット側にそういう機能がある機種もあるらしいが、これはスマホ側の課題なのではないか?

 

こないだは珍しく女の人から電話がかかってきた。

「もしもし」

もしもし!?

「あ、私です」

私?どなたですか!?

 

嫁でした。名乗りなさいよ!