人民月報

夢はベッドでドンペリニヨン

自転車が来た

夏前に、嫁が自転車を盗まれた。ぼろい自転車だから大丈夫だろうと、鍵をかけずにスーパーの駐輪場に停めておいたらやられたのだ。近場の自転車泥棒は、ぼろい自転車の方を優先的に盗んでいくものだ。

それ以来、次女のサドルゴツゴツの自転車を借りて凌いでいたので気の毒になり、俺と三姉妹がそれぞれなけなしの小遣いから菜種油のごとく絞り出し、嫁の誕生日に自転車をサプライズプレゼントすることにした。

ほんとうは嫁の誕生日は来週なのだが、今週末の土曜日に俺と嫁は2回めのコロナウイルスワクチンを接種するため、日曜日は自転車どころではない状況に陥る可能性を考え、1週前倒しして、この日曜日に自転車屋さんから引き取ってきた。

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26インチの白い奴

機能と乗り心地はママチャリだが、盗まれても別にいいやなどという不埒な思想をもたせないために、ちょっとこじゃれたデザインのにしてみた。これなら大事にしてくれるだろうと思う。

 

自転車屋さんで、サービスで貼ってくれるというので、ネームシールを貼ってもらった。町名と苗字だけのシンプルなものだ。貼ってから気になったのだが、これって意味あるのだろうか?小学生ならまだしも、大の大人が名前シール貼ってて良かった~っていうシチュエーションなど、あるのだろうか。細かい住所も連絡先も記載してないシール。

気になったので、他の自転車ってどうなんかなと、夕方にスーパーに出かけたとき、駐輪場で隣に停めてあった自転車に名前シールは貼ってあるか、チラリと見てみた。

貼ってあった。

「Mammy」

とだけ、印字してあった。

「Mammy」

名前ではなさそうだ。近頃このあたりも、外国人の家族がふえたので、日本語だと「オカンの自転車」くらいのニュアンスで、家族内の役割が貼ってあるのだろうか。外国の家族って、そういうマグカップとか使ってるイメージ。

そんな事を考えながら買い物をすませて駐輪場に戻ったら、ちょうど「Mammy」の自転車に日本人のジジイがまたがって、秋の夕闇の中へ漕ぎ出して行った。